実例

金沢はなぜ不便か<後編>「フィンガープラン」で金沢は変われる?

前々回で金沢の交通が不便な理由を、前回でそういった金沢に対してどのような対策が取れるかのアイデアを纏めました。
この記事では、金沢市や各団体がどのように地域の改善や活性化を目指しているのか、
発表された資料に基づいて紹介していきます。

前々回

前回

今のままではいけないと思います。だからこそ金沢は今のままではいけないと思っている」

石川中央都市圏地域公共交通協議会

金沢市、白山市、かほく市、野々市市、津幡町及び内灘町の4市2町で構成する「石川中央都市圏」では、少子高齢化に対応した交通のあり方や、次世代交通の実現に向けた話し合いが進められています。

そのなかでも、今後の存続が危険視されている北陸鉄道の石川線(鶴来~野町)について議論が進んでいます。車両老朽化と乗務員不足でこのまま鉄道を維持するか、BRT化するかというもの。

BRT化することで、金沢の中心街である香林坊にダイレクトアクセスが可能となります。また鉄道事業からBRTに転換したほうがコストは安くなると見られています。

一方で同社の浅野川線(金沢~内灘)の車両整備基地が石川線内にあることから車両基地を新設する手間が発生します。また、運転士が不足しており、他のエリアを走るバスを減便する必要があります。

石川市が出している北陸鉄道の需要調査、悲壮感がすごい。鉄道よりBRTにしたほうが赤字は減るけど、車両基地移転・バス減便・渋滞増加・所要時間増加のデメリット。鉄道を続けても、向こう3~4年で車両が古くて死ぬ。 pic.twitter.com/ytRuzn7JAN— コンパクトシティ|日本のまちづくりメディア (@compactcity_com) December 20, 2022

協議会の明確な結論は出されておらず、議論が堂々巡りしている印象があります。

鉄道にしてもバスにしても、維持するにしても変化させるにしても、現状なにかしら利用者にデメリットが及ぶ可能性が高い状態です。少なくとも市内のバス路線などと連携して、路線網を大幅に書き換えるなど、次の一手を探る必要がありそうです。

コンパクトシティの構想が強くにじむ金沢市

金沢市都市政策局交通政策課

金沢市では「第3次金沢交通戦略」として2022年11月に素案を発表しています。55ページのPDFで纏められております。

江戸時代の町の骨組みを残しながら、居住地域を改善するという概要で、基本的な考え方としては車を街なかに入れずにパークアンドライドさせ、中心地は公共交通で移動するというもの。

これにより、渋滞や環境汚染を抑えつつ、歩いて巡れる便利な街を作ろうというのが金沢市の描く将来像です。

一方で先述の運転士不足や、燃料代・電気代のコスト増など、かならずしも課題がないわけではありません。

そこで「まちなか」エリアと「居住誘導区域」を設け、そこを「都心軸」で結ぶ公共交通を作ろうとしています。この考え方はコンパクトシティの基本的なスタイルと言えます。こうすることでバスの乱発が不要になり、たとえば連接バスやLRTなどのより大型な乗り物を使えます。運転士1人あたりが載せられる乗客数を増やすことで人員不足に対抗するという考えなのではないでしょうか。

また、マイカー利用の際は郊外の乗り換え拠点から、バスだけでなくタクシーやシェアサイクルを活用する「モビリティハブ」の考え方や、公共交通を単体でなく街全体の経済効果で収益計算する「クロスセクター」といった概念も入れております。

具体的に導入が考えられているのが、交通ネットワークの強化で、例えばすでにある鉄道の利便性向上。そして新しい交通システムの検討。シェアサイクルの整備などがあります。

第1段階では都心軸エリア、具体的には金沢港から金沢駅を抜け、武蔵ヶ辻を曲がり、野町の先の有松までバス停やバス専用レーンを強化・整備する構想を掲げています。

また、郊外エリアにはパークアンドライドやサイクルアンドライド駐輪場を整備するほか、地域主体の交通網策定にも言及しています。

こうした公共交通の整備で環境負荷(温室効果ガス排出量)が半減するというデータも示されており、インフラを強化しながらカーボンニュートラルにも足を踏み入れようとしています。

ただし、これらの費用感や予算等は示されておらず、先述の厳しい人材不足、経営の厳しさなどを考えると、果たしてどこまで実現可能性があるのか。ワクワクはしますが、絵に描いた餅にならないことを望みます。

金沢を手のひらに例えた「フィンガープラン」

金沢の都市と交通を考える会(K.CAT)

この団体では1年に1回程度、金沢の交通に関する議論や提言などを実施しています。国交省や市の土木局、大学教授などの40名ほどで構成されています。「金沢版コンパクトシティ」を打ち出すなど、金沢の交通を改善するための議論を行っている様子が残っています。

この「金沢版コンパクトシティ」では、金沢の街を5本指に見立てて、金沢中心街を手のひら、東金沢・内灘・金沢港・白山・野々市の各エリアへBRTもしくはLRTを整備する意欲的な計画を市に提案しています。

しかしこれは2015年のものであり、上記の5本指プランも構想の域を出ていません。

金沢はすべての新幹線が停まる場所であり、また歴史・文化など優れている一方で、「都心のバスは混むしややこしいから不便」「金沢から出ると鉄道・バスが青息吐息」「中心街は人口減少」というなかなか直視しにくい現実が待っています。金沢こそコンパクトシティを目指すポテンシャルが非常に高い街だと思うのですが、いかがでしょうか。

参考資料
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kotsuseisakuka/gyomuannai/1/2/21545.html
「石川中央都市圏における広域的な地域公共交通計画の策定について」

https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kotsuseisakuka/gyomugaiyo/4227.html
「金沢市 交通政策課」

http://www.k-cat.jp/
「金沢の都市と交通を考える会(K.CAT)」

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