国土交通省は11日、「地域生活圏」の形成に資する取り組み事例を発表しました。全国8つの自治体における防災や医療、交通インフラの整備を通じた、持続的な町の運営をめざしたものです。
概要:地域生活圏で持続性ある街を
地域生活圏とは、日常の暮らしに必要なサービスが持続的に提供されるエリアを指します。デジタルを活用しながら官民で連携し、分野を超えたつながりを生むことで市町村の区域にこだわらない連携を生む取り組みです。
今回公表されたのは全国8自治体の取り組み。北海道更別村、茨城県境町、群馬県前橋市、富山県朝日町、石川県能美市、静岡県焼津市、三重県多気町周辺、岡山県備前市の事業が挙げられています。
また、モデル事例として香川県三豊町の事例がピックアップされています。
解説:災害、交通、医療を維持するために。
全体的に「災害対策」「交通対策」「医療」がキーワードに上がっている今回の地域生活圏における取り組み。
コンパクトシティの観点から注目したいのは、過去に取り上げたこともある境町におけるデジタル化の取り組みです。自動運転バスを先駆けて運転している同市は、今後、災害時の対策としてドローンを活用した防災体制を整えるとしています。
このほか、朝日町でも「ノッカルあさひまち」という自家用車のシェアリングシステムが博報堂の支援のもとで始まっています。概念としてはアイシンの「チョイソコ」に近いですが、住民同士の助け合いという色合いがより濃く、「ご近所カーシェア」といったサービスです。
三豊市の事例は、人口減少により維持できなくなった地域サービスを「共助」をキーワードに維持する取り組みです。シェアハウスや市民大学の設立など、町とつながり、町に暮らす理由を作るという視点では非常に興味深い取り組み。いずれ詳しくお伝えできればと思います。
今回の公表事例はデジタル(マイナンバーカードの活用とか)を含めたもので、必ずしもコンパクトシティどまんなかの取り組みばかりではありませんが、衰退を前提とした国土デザインがどのようなものになっていくかの参考としては非常に興味深いものであるように思えます。
参考
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0055.html
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001747475.pdf
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