<環境>×<集住>で仙台市はコンパクトシティになるって話

東北

東北地方で唯一の政令指定都市、仙台市。人口規模がある一方で、「杜の都」として知られ、市内を流れる広瀬川やケヤキ並木など、自然も豊か。コンパクトシティとしてのポテンシャルも存分に備えています。暮らしやすい街としてますます評価されていく、これからの仙台市について紹介します。

仙台市とは

仙台は「東北地方の政治と経済の中心地」と言われています。宮城県の中部に位置し、約109万人が暮らしています。これは政令指定都市のなかで、広島市に次ぐ11番目の人口です。

その原点は奈良時代の「東山道」の要衝、また港や川が近いことから舟運の要衝でもあった、恵まれた土地柄です。東に太平洋、西に奥羽山脈。七夕祭りが有名です。

現在は青葉城跡の麓に街が拡がります。仙台駅はすべての新幹線が止まり、JR線と地下鉄が周辺を結びます。

新幹線がくねった理由

コンパクトシティの観点から、仙台には非常に有利なポイントがあります。それは「街のまんなかに鉄道がすべて来ている」ということ。鉄道が町中心部にやってくることで、遠方からの来訪者にとっても訪れやすく、すぐ目的地にたどり着ける街になります。結果として駅前が中心地の役割を果たし、賑わいを産みます。

仙台のように、街の中心に鉄道が来る、という構造は、昔から鉄道の通っていた大都市では結構珍しいんです。東日本地域の鉄道を多く敷設した旧日本鉄道(1881~1906)では多くの場合、当時の市街地の縁の部分に駅を作ったと言われています。

仙台市の場合、まず在来線を敷設する際に、もともと町外れに作られる予定の駅を無理やり中心部へ引き込んだ経緯がありました。地元の商人が請願したことでルートを変更したようです。

戦後、東北新幹線を作る際も、直線上にするのではなく、仙台中心地への乗り入れることに。

結果として仙台は新幹線も在来線も駅の中心部にやってくる結果となりました。新大阪や新横浜、新青森といった新幹線のための駅はつくられることなく、結果として仙台の大きな強みとなった形です。

仙台市のコンパクトシティ計画を振り返る

コンパクトシティのはしり、仙台21プラン

仙台市のコンパクトシティへの取り組みを紹介していくなかで、「仙台21プラン」には触れておきたいところです。

仙台21プランは1997年に策定されたもので、高齢社会や人口減少に対応すべく、2010年度までに「21世紀都市仙台」を創るという、名前からして平成1桁の香りがムンムンするプランでした。すでに30年近く前の取り組みとなりましたが、内容は現代にあらためて吟味すべきものといえるでしょう。

仙台21プランは、膨張した都市計画を脱却し、軌道系交通機関を基軸とした市街の再整備を目標とする「コンパクトシティ」構想でした。軌道系交通機関は主にLRTなどを指します。

ベースとなるのは六軸。「共生の風土づくり」「持続的発展が可能な都市づくり」「暮らしやすく、動きやすい都市構造の形成」「都市の創造力の涵養」「東北の中の仙台の役割」「広域生活圏の課題への取り組み」。

この方針の中で、自然環境を活かし、まちを自然環境ゾーン、田園ゾーン、市街地、軌道系交通機関を基軸とするゾーン、集落地区に分けるものでした。

ある程度、街や都市計画に詳しければ、現在全国で議論されているコンパクトシティやミズベリング、SDGsという文脈を、25年近く前に捉えたプランであることがわかるはずです。

内容としては骨太方針のため、具体的な数値目標や実施される政策などは盛り込まれていません。

しかし、この仙台21プランが21世紀の仙台市に影響していることは、その後の開発を見ていくと分かります。

2021年、仙台市基本計画

仙台市は2021年に「仙台市基本計画」を公表しています。これは向こう10年の仙台のまちづくりを考えた計画。

大きな特長は人口減少を前提に、都市化と緑地化を前提としたまちづくりを掲げていることです。仙台21プランを踏襲したものと言っていいでしょう。

人口減少を前提としていることで、年齢や性別だけでなく、国籍をまたいだ機会創出や拠点づくりを目指しています。また、「学び」「活躍」「協働」という字が並んでいることから分かるように、ライフステージにあわせて全員が活躍しなさいよ、という市の切実な願いが透いて見えます。

都市も変わります。具体的にはいろいろとありますが、今回は駅周辺に絞って調査しましょう。

市役所本庁舎の建て替え・勾当台公園の再整備・音楽ホールの整備検討。

また、仙台駅を中心に、西部は西公園、東部は榴岡公園までを「都心機能強化ゾーン」として都市機能を集中、青葉山と仙台駅の間を結ぶ通りにある緑豊かな道路2本(定禅寺通・青葉通)を「交流・賑わい軸」として整備、2本の「交流・賑わい軸」をつなぐように「商業・賑わい軸」を整備するというもの。

ちなみに定禅寺通は仙台駅から地下鉄で5分、徒歩15分。定禅寺(じょうぜんじ)というお寺は150年前に無くなっており、現在は通りの名前として残っているのみ。ですが、道路の中心にはケヤキなどの木々が植えられ、まさに緑豊かな街を印象付ける通りになっています。青葉通にも同じく、道を覆うように緑が植えられています。

仙台に木が多い理由は、あの伊達政宗が関係しています。もともと政宗は政治を通じて、食料や建材にするために植樹を奨励していた歴史があります。戦災で一旦は焼けましたが、1958年に定禅寺通でケヤキの植樹が再開。火事の延焼防止と、都市景観の向上を狙ってのものでした。

今後は「グリーンインフラ」と呼ばれる緑化をさらに進めていく方針。仙台が日本の都市の中でもっとも緑に近い街と言えるのではないでしょうか。

コンパクトシティ・仙台の特長とは?

緑を活かした道路空間の再整備

またウォーカブルシティへの取り組みも進んでいます。2021年6月、「仙台市みどりの基本計画」に関する会議のなかで、「緑の回廊づくり」を掲げています。2030年度までに仙台市全域をいかに緑化し、自然を維持していくかについて、方針を示しています。

そのなかで「百年の杜づくりプロジェクト推進計画」という計画が2022年から動いており、都市部を中心に、2025年までに自然と都市機能を組み合わせたいくつかの施策を施していく予定です。

すでに公園の整備、雨水の活用、道路のケヤキ並木を生かしたエリアマネジメント等を進めており、2023年春には「全国都市緑化仙台フェア」を開催。115万7千人を動員しました。

これらは直接歯が言及していることではないのですが、「ウォーカブルシティ」創造の一貫と言えそうです。

進む再開発とコンパクトシティ化

仙台は中心地の再開発も進みます。2019年に、仙台中心部のオフィス老朽化を改善すべく「せんだい都心再構築プロジェクト」を開始。100億円規模の投資を行い、首都圏からの移転需要を取り込みます。

特に昨今は駅北部の動きが活発。

仙台市本庁舎は建て替え工事のための解体が進みます。

昨年12月には「アーバンネット仙台中央ビル」がNTT都市開発によって開業。今年2月末には木造のオフィス「ウッドライズ仙台」が開業。さらに仙台のランドマーク「電力ビル」を2025年から順次解体し、35階と24階建てのツインタワー型のビルを建設予定。はたまた「仙台第一生命ビル」を建て替えるプロジェクトも進みます。

はっきりいって、やべー!と言いたくなる再開発スピードです。一個一個書いていたらキリがないので次の機会に回すとして、これから10年で仙台市は大きく変わっていきそうです。

緑があり、安全性が高いオフィスが供給されることで仙台周辺の雇用も増えるでしょうし、場合によっては東北周辺や関東圏からの移転、新事業所の設置などの効果を期待できます。

オフィスだけでなく、住宅についてもこれからが楽しみです。たとえばこの10年で、仙台市内のマンションは倍近く値上がりしています。不動産調査の「東京カンテイ」によると、2010年には70平方メートルあたり2600万円ほどだった新築マンション価格は、23年に4700万円ほどまで上昇。

一方で中古マンション70平米の価格は、10年前の新築に肉薄します。仙台市は2024年4月末に東京カンテイが発表した段階で2,385万円。ほかの東北地方は県単位のみの推計ですが、秋田県1,772万円、岩手県2,031万円、青森県1,701万円、福島県1,812万円など。仙台中心地の価値がいかに高いかが見えてきます。

こうした高騰が起こっても、若年層の住宅購入意欲は高く、東北地銀は相次ぎ「50年ローン」の導入に踏み切っています。若者が街の中心部に入り、商業施設が活性化、さらに住宅が供給され、それを豊かな自然と地下鉄が支える…このように、素敵な循環が始まっています。

これからの仙台市の姿とは?

仙台は国内屈指の大都市でありながら、自然との共生を目指しています。その時点でユニークながら、現在都心部は熱狂的な再開発ラッシュを迎えており、5年後、10年後の仙台はいまと全く違う街になっているでしょう。

願わくば、その際に、「住むならココ!」と言いたくなるような、理想のコンパクトシティ担ってほしいと思います。

そのなかで見えてこないのは公共交通のあり方。自動車依存からの脱却は市の都市マスタープランで掲げているものの、現在は地下鉄の新型車導入くらいしか取り組みを聞きません。延伸計画もありますが、実現可能性はまだ低いままです。

仙台市の自家用車保有率は、地元企業による調査で78%。東京都区内はコロナ前の調査で36.9%と言われており、倍近く差があります。東京水準にする必要性はまったくありませんが、車の所有は義務や必須項目ではなく、自由や権利であるべきです。

中心地の交通は不足があるようには見えません。むしろバスの系統が複雑すぎるようにも感じます。例えば市の周辺部を環状でつなぐバスがあっても良いように思えます。例えば南北線の富沢から太子堂、若林区を縦断して苦竹、南光台へぐるーっとまわるBRTがあったら、ロードサイドの用事も車無しで片付き、さらに鉄道で市の中心部に抜けやすくなり、便利なのではないでしょうか。

仙台駅は「はやぶさ」含め全ての新幹線が停まるため、県外からの流入も目立つことが予想されます。緑化、再開発の次に、交通網の充実も期待したいところです。

参考文献

仙台・電力ビル一帯再開発、低層部のホール縮小も機能増 - 日本経済新聞
三菱地所や東北電力グループで不動産管理会社の東日本興業(仙台市)などが仙台市中心部で進める「電力ビル」を核とした再開発の計画概要が分かった。2棟のビルを建て広場や歩道を整備、飲食店も入る。低層階には既存ビルの音楽ホールの規模をコンパクトにし...

https://www.city.sendai.jp/hyakunen-chose/ryokkafair/documents/4_54-80.pdf

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https://www.nhk.or.jp/sendai-blog/update/489614.html
ページが見つかりませんでした – 環境的に持続可能な交通(EST)ポータルサイト

https://www.city.sendai.jp/machizukuri-kakuka/shise/zaise/kekaku/sogo/sogo/documents/21plan.pdf

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https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20231208/6000026012.html
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https://www.kantei.ne.jp/report/WR202403.pdf

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