突然ですが皆さんは「ふるさとクリック」をご存知でしょうか?
日本経済新聞がまとめている地域のデータを、日本地図にマッピングしたものです。このふるさとクリックを見ることで日本のコンパクトシティ化がどの市区町村で進行しているかを「集住率」で示しており、しかも2000年からの推移をおおよその傾向で掴むことが出来ます。ちなみに集住率というワードについては追って解説します。
もちろん推測の域を出ないものや、都市開発、国勢調査などのデータによって異常値がまったく出てこないわけではないのですが、コンパクトシティの推進にヒントになりうる貴重なデータであることに違いは有りません。
今回は複数回に分け、コンパクトシティ化が進む自治体の傾向をふるさとクリックから読み取ってみようと思います。
集住率とは?
集住率とは、「一定の人口数の条件を満たした人口集中地区の人口を全域の人口で割り算出された数値」と定義されます。「人口集中地区に住む人口」を「全人口」で割って計算します。
「人口集中地区」は、総務省が5年ごとに公表する「国勢調査」で設定します。全国を106万箇所に分割し、1キロ平方メートルに4000人以上が住んでおり、なおかつ隣り合わせの区域も同様に4000人以上が住んでいる地域が「人口集中地区」になります。
そのため1つの市区町村に複数の人口集中地区が存在することも有りえます。
ふるさとクリックで見る県ごとの集住率ランキング
日経によると、2020年時点で集住率が高くなっている県はこの様になっています。
10年前と比べ、集住率がより高まった県が上位になります。
1位 滋賀県
2位 宮城県
3位 佐賀県
4位 福井県
5位 千葉県
上記の県ではコンパクトシティ化が他県に比べ早く進んでいることになります。
他方、人口集中地区以外のエリアで顕著に人口が減っている可能性もあり、上記の県の郊外では空き家や高齢化、限界集落などが加速度的に問題になってきていると考えられます。
ふるさとクリックで見る自治体ごとの集住率増加
集住率の10年間上昇幅が10ポイントを超える自治体は下記のとおりです。
北海道
北海道中川郡幕別町
東北
岩手県滝沢市
岩手県紫波郡矢巾町
宮城県黒川郡大和町
宮城県黒川郡富谷市
宮城県東松島市
宮城県名取市
宮城県亘理郡亘理町
関東
茨城県那珂市
茨城県つくばみらい市
千葉県印西市
千葉県富里市
千葉県白井市
千葉県大網白里市
埼玉県比企郡嵐山町
埼玉県比企郡滑川町
埼玉県児玉郡上里町
東京都稲城市
中部
静岡県御殿場市
岐阜県瑞浪市
岐阜県羽島郡笠松町
愛知県額田郡幸田町
愛知県知多郡阿久比町
石川県河北郡津幡町
石川県野々市市
富山県砺波市
関西
滋賀県草津市
滋賀県湖南市
滋賀県栗東市
京都府木津川市
大阪府四條畷市
兵庫県川辺郡猪名川町
兵庫県加東市
兵庫県加古郡稲美町
中国・四国
徳島県板野郡藍住町
岡山県都窪郡早島町
広島県安芸郡坂町
山口県下松市
九州・沖縄
福岡県宗像市
福岡県福津市
福岡県糟屋郡新宮町
福岡県糟屋郡篠栗町
佐賀県三養基郡基山町
佐賀県鳥栖市
佐賀県神埼市
長崎県西彼杵郡時津町
熊本県菊池郡菊陽町
鹿児島県日置市
沖縄県中頭郡中城村
沖縄県島尻郡八重瀬町
各自治体ごとの動静や、大きな動きを見せた自治体は次回以降の記事で詳しく紹介します。
ふるさとクリック2020年時点の集住率を分析
「10年前との比較」がミソです。特に2011年の東日本大震災の影響は無視できないでしょう。
特に宮城県でコンパクトシティ化が進んだ街は仙台周辺が多く、一方で気仙沼市、岩手県の宮古市・釜石市・大船渡市など、港町のエリアは10年前を境に集住率・人口密度ともに下降ペースを早めています。宮城県内だけでも震災を契機に2.2万戸の仮設住宅が建てられており、また現在はほぼ仮設住宅が解消されていることから、人口の大きな変動が起きたと言うことではないでしょうか。
なお、原発のあった福島県浪江町、双葉町には人口集中地区が存在しないため、集住率の増減はゼロとなっています。
埼玉県の場合は、人口集中地区のなかったところに新たな人口集中地区が生まれ、10年前と比べ一気に数値が高まったエリアが多い印象です。
自治体はコンパクトなほうが有利で、岐阜県笠松町、広島県坂町など「俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」くらい小さいエリアではコンパクトシティになりやすい傾向にあります。いくつか理由は考えられますが、まず合併しなくても小さい町でやっていける経済力が有り、1キロ平方メートルあたりの人口をもとに計算するため人口集中地区以外のエリアが大きな町よりも少なくなるなどの要因が考えられます。
各地域の集住率については、次回詳しく分析していきます。
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