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アイシンのやっている「チョイソコ」ってなに?各務原の事例をもとに解説

各務原市がユニークな施策で街をにぎわせようとしています。
その戦略は、「バスに乗ったら温泉無料」。どういうことか、詳しく見ていきます。

そもそも各務原ってどこだ。なんて読むんだ。

各務原市は岐阜市のとなり、14万人が暮らす中山道沿いの住宅街です。にんじん畑とネギ畑の広がるひなびた街ですが、東端の「新鵜沼」は名鉄電車の行き先でしょっちゅう出てくるため、愛知県民にもよく知られた街です。

各務原には3通りの名前があるから、なんて呼べばいいのか…

各務原は初見殺しの地名で有名です。市名は「各務原(かかみがはら)」ですが、JR高山線は「各務ヶ原(かがみがはら)駅」、県立各務原高校の校歌は「その名にこぞる かかみはら 高校ここに我らあり」です。そして岐阜県民がイオン各務原店に集合するときは「みっぱらのイオン集合で」、なんて言います。

岐阜市の路面電車の回でもちょっと触れましたが、各務原市は良くも悪くも岐阜県民らしからぬ適当っぷりが目立つ地名です。本来岐阜県民は真面目で、ビールはあまり飲まず、カフェによく行き、森や川といった自然や歴史を愛する文化的な県民。しかし「かかみがはら」のときは珍しく相当酔っていたのか、地名の表記も読みもぐちゃぐちゃです。

各務原の地元の足として「チョイソコ」を導入

閑話休題。各務原市では、名鉄もJRも、市内を東西に横切るのみで、南北軸は自家用車やバスに頼るほかありません。トヨタ文化圏ということもあり自動車が当たり前です。

しかし、各務原市でも高齢化が進んでおり、8年前となる2015年のデータで26.4%。

そこで、自動車の運転が難しくなった層に対し、アイシンの運営する「チョイソコ」を走らせ、移動の足としています。

チョイソコとは

チョイソコは「乗り合い送迎サービス」を日本各地で展開しています。地域住民が「チョイソコセンター」に、いつどこへ行きたいかを伝え、それにあわせてハイエースなどのオンデマンドタクシーを走らせます。

地元企業のスポンサーを募り、収益性を高めるほか、利用者に対してスポンサー企業の広告を行うことで、外出機会そのものを創り出そうとしています。23年6月時点で、少なくとも38自治体での運営が確認できました。

各務原市では、2020年に鵜沼エリアで実験的にチョイソコのサービスを開始。2022年からはエリアを拡大し、現在に至ります。浅野健司市長は地元NFO法人のインタビューで、「2022年8月末で会員数は約500名、延べ5000人の利用があったと」話しています。

乗車は1回400円、小学生以下、65歳以上は半額です。交通系ICカードも使えます。電話かネットで乗車の20分前までに予約して、実際に乗車するという流れです。

チョイソコ×温泉で外出機会をつくる

本題。

「チョイソコかかみがはら」では、利用者を地域のハーブ園に送迎し、ハーブ摘み作業を1時間行うと、敷地内にある温浴施設の無料入場券がもらえる取組を実施しています。

地域のハーブ園とは、「湯癒草々GARDEN&FACTORY」のこと。こちらも22年秋の開業と新しい施設です。ここでは50種類以上のハーブを栽培、栽培したハーブは近隣の温浴施設で利用するほか、一部は食べられます。

そこでハーブ作りを高齢者にしてもらい、対価として隣にある「恵みの湯」のお風呂にタダで入れる、というもの。

これって実は凄いのでは、と思わずにはいられません。

例えばリタイアした人のなかで日中やることがなく籠もってしまうという場合に、ハーブ園までチョイソコで出かければ、誰かと交流もできる上にハーブの栽培作業や入浴で健康になれる、という設計です。さらに地元の「恵みの湯」が賑わい、ハーブの生産・販売によって地元経済にもポジティブな効果があります。頭がいい人がいたもんだ…

しかもハーブを活かしたサウナや食事まであります。入湯料は800円なので、時給と考えれば特別おかしくは無いのですが、おじいちゃんおばあちゃんにしてみればバス代往復400円とちょっとの作業で温泉がタダなんだから、羨ましい限り。

外出機会と交通の地位が逆転

これまで外出する用事があって、その手段として交通があったわけです。しかしチョイソコ各務原の場合、「チョイソコに乗れば温泉がタダになるから外出する」というロジック、すなわち交通機関が主導する形で外出するきっかけを作っている、という考え方ができます。

これまでスタンプラリーや観光列車、謎解きなど、鉄道・バス各社が涙ぐましい努力をしていたわけですが、チョイソコの場合は地元スポンサー企業と密着できているという意味で、一歩進んでいます。

例えば他の自治体でも、買い物ついでに地元の小学生の登校を見守ったら復路がタダとか、カフェに証券マン、ブランド買取屋、電器店やインターネットの営業スタッフなんかを呼んで、その日はチョイソコで来た人にケーキ無料のかわりに営業に付き合ってね、といった試みができるわけです。

各務原にチョイソコはどう定着するか

各務原市は2022年に立地適正化計画を発表しており、JR・名鉄線沿いの駅周辺に居住誘導していく方針が示されています。

JR高山線、名鉄各務原線ともに、日中は毎時2本のワンマン列車が走りますが、駅が隣接する那加駅、各務原駅、鵜沼駅は実質毎時4本と、利便性は高くなります。さらに新鵜沼からは6~12本、名古屋方面へ列車が出ていくため非常に便利。中部空港に直通する列車もあります。

こうしたことから、「那加駅」と「新鵜沼駅」を軸としたまちづくりが進んでいくことになりそうです。

そして、東西交通は鉄道が、それ以外の市内交通は従来のバスと「チョイソコ」が担うという体制が整いました。

そして、そのなかでも「チョイソコ」は、これまでにない外出機会を創造するツールになるかもしれません。

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参考文献

https://www.meguminoyu.jp/

https://school.gifu-net.ed.jp/wordpress/kaku-hs/invitation/summary/

https://www.city.kakamigahara.lg.jp/life/kotsu/1009214/1009284.html

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74598?pno=3&site=nli

https://kakamigahara-kankou.jp

https://biz.chunichi.co.jp/news/article/10/47746/

https://www.city.kakamigahara.lg.jp/life/kotsu/1009282.html

https://gifu42.net/pa_08
ABOUT ME
isuta
1995年生まれ。中学時代にブログを立ち上げて以降、ずっとライター。 東海地方出身。少年時代に親しんだ鉄道路線や百貨店が次々廃止になり、衰退を目の当たりに。地方を元気にする手法としてコンパクトシティを広めようと思い立ち、「日本をちいさく良くする」「日本をリユースする」をテーマに本メディアを鋭意制作中。

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