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東京一極集中、2027年度に是正は本当か?前編

共同通信によると、日本政府は2022年12月16日に、2027年に東京圏への転入超過を解消すると発表しました。デジタル田園都市国家構想総合戦略の案として、今後5年で行政のオンライン化、農業自動化、自動運転などに取り組む自治体を1500に増やすというものです。あわせて、東京圏から地方へ移住を促進し、現地での起業を促すという構想も含んでいます。

さて、これは本当にありえることなのでしょうか。考察と検証をしていきます。

デジタル田園都市国家構想総合戦略とは

デジタル田園都市国家構想総合戦略は、2021年に岸田政権が誕生してから盛んに言われるようになったワードの1つです。

公式サイトには「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指して」と掲げられ、このような取り組みを進めていくとしています。
・地方の社会課題解決
・地域の魅力向上
・3つの「不」をデジタル化で解消

そのために手掛けていく取り組みは、下記の3つです。

・デジタル基盤整備
・デジタル人材育成
・デジタルによる地方の課題解決

本当は「誰ひとり取り残されないための取組」という項目もあるのですが、これはデジタル田園都市国家構想に限った話ではない上に、なにも具体性がないので省いています。

具体的には自動運転バスの導入(茨城県境町)や、ドローンによる日用品配送(山梨県小菅村)がすでに事例としてあります。

東京一極集中を直すのは難しい

さてこの東京一極集中を直すのはかなり難しいことと言えます。理由は大きく3つ。

・東京が便利過ぎる
・引っ越しが手軽にできない
・コアメンバーが東京にいる

特に、東京が便利すぎること・東京のデメリットが薄いことは、東京一極集中がいつまでも続く最も大きな要因です。

東京が地方に比べて過剰に有利すぎることから、今後も東京圏への流入は続くと見られます。20~30代は出会いに恵まれています。恋愛・結婚だけでなく、仕事や知識、人生のチャンスにおいても、日本国内で東京を上回るエリアはないか、ほとんど見当たらないといっていいでしょう。

引っ越しが手軽でないことも問題です。これは鶏とたまごの議論になりそうですが、引っ越しの際にたとえば住民票、免許証などを書き換えたり、マイナンバーカードを修正する手間が発生します。また電気やガス、水道、ネットなどの手続きも複雑です。「引っ越し」の難しさもあります。家を買う、売る際の手続きは非常に高難易度で、個人では限界があります。不動産店や税理士の協力が必ず必要です。家具・家電の買い替え、処分の際の粗大ごみなども、重荷になるでしょう。

理想はマイナンバーカードを役所に渡すだけでガスやネット含めすべての手続が1発・かつワンストップで終わることのはずですが、現実はまだ近づいていない状況です。

最後に、感情的な部分もちょっと問題視したほうが良いかもしれません。問題なのは、これらの東京一極集中やデジタル田園都市などのアイデアを出している組織が東京に有り、この組織の指示をうけて動く団体が東京にあり、そこのトップも東京におり、多くが東京の大学を出て東京で働いていることです。

国会議員の出身大学は東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学が3強で、4割。そのほか、京都大学を除きほとんどが関東圏の大学です。その状況がもはや東京一極集中の限界を語っているように見えます。

東京に集約された知恵は、どうしても東京からの視点にしかならず、たとえば町外れのアパートや山奥の一軒家に暮らす人にまで、東京の価値観を押し付けることになっているのではないでしょうか。

関東にデメリットができれば移住は自然に進む

ただ、コロナの時期に「コロナ移住」というワードが出てきたように、東京にいるデメリットが目立つ出来事があった場合、自発的な移住が活発化する可能性もあります。

コロナの際はいわゆる「三密」、つまり狭い土地で大勢が暮らす空間そのものがデメリットになりました。東京のインフラは非常に便利ですが、その反面、なにかが滞るとたちまち大勢が被害を受ける構図でもあります。

そのため、今後5年で東京への流入をとめ、地方回帰を促すには、まず東京が過剰に便利であるという現状をなんとかするところから始める必要があります。

例えば関東一都三県の法人税をあげて、企業を地方に逃がす。おそらくこれだけだと名目上の本社だけ茨城とかにして、後は通常営業が続きそうなので固定資産税も上げる。最低賃金も挙げる。国や大学などの組織もどんどん関東外に追いやる。

逆に人口が減っているエリアをどんどん有利にする。固定資産税、住民税を、東京100、限界集落を0として、人の減り方・生まれ方を基準にして、生活コストをぐいぐい下げる。そうすればいわゆる「デジタル人材」も地方に移り、日本は地方から元気になっていくのではないでしょうか。

第二の関東大震災や富士山の噴火でも移住が起こる可能性はありますが、そんなネガティブな文脈で移住が進むことを望む人は僅かと思われます。少しでも平和で安定している今のうちから、移住しやすい環境づくりを進める必要があります。

兵庫県明石市を例に

もっと注目されるべき町として兵庫県明石市があります。ここは兵庫県内唯一の人口増加を成し遂げている県で、10年前の29万人から2022年には304,564人まで増えました。

明石市は10年連続の人口増(中核市では全国一の人口増加率)で、今年も兵庫県内41自治体で明石市だけが人口増。
もっともそれは、住みやすい街づくりの結果にすぎず、人口増を目的としているつもりはない。大切なのは“人の数”ではなく、“住みやすさの質”だと思っている。 https://t.co/wj3Oz5tc12— 明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ) (@izumi_akashi) December 1, 2022

行ったことはシンプルです。同市は子供向けの支援を強化し、医療費、保育料、おむつ、給食費、遊び場の5つを無料にしました。これにより、2人~3人の子どもをもっている、あるいは考えているファミリー層が集まったとしています。

ただし、ただこれらを無料にするだけでは不十分です。

まず明石市という立地は神戸・大阪に近く、大阪駅までは新快速で40分ちょっとという場所にあります。大阪で働いている人が快適に通える距離感にあります。西明石からは新幹線も出ており、ひかり・こだまが使えます。

そして2016年に明石駅前の再開発が行われ、住宅や公共施設が都市部にぐっと集まりました。

コンパクト+ネットワークの2つがあったからこそ、子育ての町としての機能が働くようになった可能性は踏まえておく必要がありそうです。

次回の記事では、こういった情報を前提に、デジタル田園都市の構想をより具体的に読み進めながら、「東京一極集中」が本政策でどれほど緩和に向かうのか、考えてみます。

参考:

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/index.html

https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00830/#:~:text=%E9%83%BD%E5%B8%82%E9%83%A8%E3%81%A7%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1%EF%BC%88%E8%A4%87%E6%95%B0%E5%9B%9E%E7%AD%94%EF%BC%89%E3%81%A7%E9%81%8E%E5%8D%8A%E6%95%B0,%E3%81%AF22.0%EF%BC%85%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

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