八戸市 は16日、2023年度当初予算案を発表しました。一般会計総額は950億円で、前年度比37億円(4.1%)の増加です。
中心街の商業ビル「チーノはちのへ」一帯の再開発事業支援に約10億円、4年間で95億円を投じます。
背景にはチーノはちのへの不振があり、さらには市内中心部の魅力が徐々に落ちていることを示しています。
八戸市 とその予算案

八戸市 は、青森県の中央部、太平洋に面した市であり、県内第二の都市です。一方、市内には海、川など豊かな自然があります。B級グルメ「せんべい汁」が知られています。
そんな八戸市が、令和5年度当初予算と令和4年度補正予算の内容を発表しました。令和5年度一般会計当初予算では、感染症対策や子どもファースト、地域経済の再生などに重点を置き、前年度比4.1%増の950億円が配分されます。
令和4年度3月補正予算では、中小企業支援として市独自のコロナ融資の借換え保証料補助制度が創設され、学校給食の高騰対策に必要な予算が追加計上されました。歳入歳出の補正額は、それぞれ37億7,324万円で、補正後の総額は1,076億4,549万円です。
八戸市 内のチーノはちのへを再開発

この中で目立ったのが、「チーノはちのへ」再開発です。チーノはちのへは市の中心部にあったファッションビルや映画館などで構成された施設でした。2023年の1月に42年間の営業を終え、取り壊しが始まる予定です。
これには予算を約10億円計上。そのうち半分が国庫補助となります。
計画では、「チーノ」の愛称で親しまれてきた現在の建物「八戸スカイビル」や「八戸スカイパーキング」を解体、新たに15階建て分譲マンション2棟と飲食、物販、ホテルの複合機能を持った店舗棟、立体駐車場を再整備するようです。
事業費用は、4年間の総額で95億円を見込んでいます。
実はボロボロだったチーノはちのへ
チーノはちのへは元々、イトーヨーカドーの入居する大型商業施設でした。しかしそのイトーヨーカドーは2003年に撤退。ちょうど市の人口減少が始まった時期に重なります。
そこで、イトーヨーカドーの抜け殻を活用するかたちで「チーノはちのへ」として再出発、映画館「フォーラム八戸」を9スクリーンで運営する運びとなりました。
一時期は猫カフェや百均、アニメイト、古着店、ゲームセンターなど、若者受けしそうなラインナップが揃っていたのですが、徐々に衰退。結局最終期には、アウトレット店、カバン店、ダンス教室のみが7階建ての商業施設にポツリと存在するのみとなっていました。
閉店直前の寂しい店内の様子はYoutube上に残っています。
最終的に、所有者である八戸スカイビル側の意向で、営業を終了。約20年の歴史に幕をおろしました。
需要が拾えなかったとは言え、貴重な都市部の商業施設が普通のマンションに変わるのはちょっと寂しい思いもします。
青森市でも「アウガ」という建物が、失政の象徴として、あるいはコンパクトシティ化の失敗事例として聞かれます。チーノはちのへもまた、まちづくりの失敗事例だったのでしょうか。
いいえ、厳密には、八戸市はコンパクトシティのスタートラインにさえ立っていない状況です。非常に厳しい書き方となりますが、八戸市のコンパクトシティ化は非常に困難だといえます。詳しくは、次回にでも。
参考
http://aoimorilabo.com/cinohachinohesaikaihatsu
https://www.zaikei.co.jp/article/20220907/688500.html
https://www.city.hachinohe.aomori.jp/
[…] 八戸市の特集を前回につづいて進めます。チーノはちのへ周辺の再開発。街の中心部でありながら商業施設が経営悪化し、分譲マンションなどに建て替えることが決まりました。 […]