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コンパクトシティと「SDGs」の密接関係とは

SDGs。2019年ごろから脚光を浴びるこのワードですが、コンパクトシティの概念とSDGsの意義はほぼ100%合致しており、コンパクトシティを推進することで自治体や土木・建築系の事業者はSDGsの推進が可能になります。

SDGsとは?持続可能とは?

SDGsの目標

SDGsは「Sustainable Development Goals」の頭文字で、「持続可能な開発目標」と和訳されます。いまに続くサステナブルブームの始まり(元凶?)といえます。

20年前に流行った「エコロジー」をより発展・体系化した内容になっており、「地球に優しい」をさらに発展させ、今後の人類をはじめとする生命や環境が今後も生存し続けられるようにしましょうという、2030年までの達成を目指した目標となっています。
主に発展途上国などの貧困を解消しつつ、工業国の環境汚染を防ぐなど、地球環境を意識した生活を目指そう、という趣旨です。日本国内の管轄が外務省であることからも、世界的な取り組みであることが読み取れます。

【関連記事】「コンパクトシティ」の解説

SDGsの課題

SDGs

こうしたSDGsですが、かつての「エコロジー」と同様、言うだけ言って尻すぼみしやすい特徴をはらんでいます。

それは各国ではなく、世界的な取り組みとしている点です。京都議定書のときもそうでしたが、目標の達成がそもそも難しく、さらに世界的な責任の押し付けあいになってしまう傾向があります。現在も中国に批判が集まっている他、先進国に対して途上国が批判をしたり、あるいは欧州などが独自に自分たちの都合にあわせてルールを策定したりと、迷走している部分があります。

日本国内に関しても、企業・個人のアピール材料や、環境活動家の飯の種になっている側面があり、本質的な課題解決であるはずの貧困問題や環境問題へ取組む企業がどれほどあるか、見えにくい状況になっています。

コンパクトシティとSDGs、その密接関係

一方で、コンパクトシティの推進は本質的なSDGs活動と言えます。
まず、ほぼすべてのSDGs項目に対応しております。

たとえば、

1:貧困をなくそう
1:貧困をなくそう…都市を圧縮することで行政サービスを行き渡りしやすくし、また商業地区を活性化させることで雇用を生み出せます。
3:すべての人に健康と福祉を
3:すべての人に健康と福祉を…アクセスしやすい病院や高齢者施設、こども園がある
4:質の高い教育をみんなに
4:質の高い教育をみんなに…上記同様、住民にとってアクセス性の高い場所に、小中学校、図書館など各種教育機関が存在する
6:安全な水とトイレを世界中に
6:安全な水とトイレを世界中に…都市圏を縮小させることで上下水道のインフラを集中管理でき、維持管理コストを下げながら品質向上を目指せます。
7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに…上記同様、都市圏を圧縮することで、インフラ管理のボリュームコストを下げることができます。
8:働きがいも経済成長も
8:働きがいも経済成長も…街をコンパクトにすることで広く薄い商圏から狭く濃い商圏に。商店街の活性化や新規店の進出、雇用の発生を促せます
9:産業と技術革新の基盤を作ろう
9:産業と技術革新の基盤を作ろう…インフラを集中投資できるようになり、上下水道をはじめとする暮らしに欠かせないサービスが手厚く、かつ安くなります。また再開発を行う場合は公共工事関連の産業を活性化できます
10:人や国の不平等をなくそう
10:人や国の不平等をなくそう…これまで行政や商業の恩恵を受けられなかった住民に移住を促し、都市圏の生活を提供できます。また交通機関を見直すことで、引っ越しコストなしで住民サービスの改善を目指せます
11:住み続けられるまちづくりを
11:住み続けられるまちづくりを…インフラの維持費を圧縮し、災害時の救助や情報伝達において効率化が図れます
12:つくる責任つかう責任
12:つくる責任つかう責任…都市部に人口を集中させることでリユースやシェアリングが活発化し、無駄な廃棄を減らせます。また郊外部の人が離れたエリアでは自然環境が回復し、効率的な農林業の実現を目指せます
13:気候変動に具体的対策を
13:気候変動に具体的対策を…街がコンパクトになることで自動車主体の都市から公共交通主体の都市へ脱皮が可能、かつ郊外部はさらなる緑化が可能です
15:陸の豊かさも守ろう
15:陸の豊かさも守ろう…点在する都市機能を集中させることで、周縁のエリアに自然環境が戻ります。
17:パートナーシップで目標を達成しよう
17:パートナーシップで目標を達成しよう…これは目標と言うよりは、コンパクトシティは1人の力で達成が難しいため、パートナーシップが不可欠です。 

日本の地方都市はコンパクトシティを志向することで、自然とSDGs実現に向けた具体的アクションをいくつも生み出すことができるようになっています。

また、理念の一つである「誰一人取り残さない」という考えに、街全体の住み心地をアップデートするコンパクトシティの考えは合致しています。

コンパクトシティを実現した富山市では、「富山市の住み心地<全体・経年変化>」が2015年と比べ年々上昇。2015年に29.9%だった「住みよい」の回答が2020年には32.6%に上がり、「まあ住みよい」と合わせて約90%が満足しています。

とはいえ満足しなかったら引っ越すでしょうから、満足度は高くて当然かもしれません笑

注目したいのは、その住みよい理由。2015年と比べ「緑や自然環境に恵まれている」が減る一方で、「日常生活が便利」「都市基盤の整備など生活環境が良い」と答える層が増えました。

https://www.city.toyama.toyama.jp/

2020年はちょうど富山ライトレールと富山都心線が直通運転を開始した年。両社をまたぐ利用者にとっては値下げとなり、15年がかりで整備してきたLRT網によって街の回遊性がかつてないほど高くなりました。

このように街全体でウェルビーイングを向上させていく効果があります。

SDGs を取り違えてはいけない

SDGs活動に取り組む企業や団体を見ていくと、「SDGsだから○○する」という姿勢のところより、「すでに実施している○○はSDGsだった」という要素が多いように感じます。

コンパクトシティも、SDGsありきで実行するというより、住民のニーズに応えていくことがSDGsにつながると捉えた方がより自然です。

ムーブメントではなく中長期的な取り組みとして街を作る取り組みがさらに広まることを願います。

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