【秋田県】いよいよ過疎地インフラの「縮退」が始まった【国道廃止】

東北

秋田県は、県が管理する国道や県道およそ180キロの区間について、廃止もしくは維持管理レベルの引き下げを行う方針を発表しました。(秋田放送 6月19日報道)

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新道ができても移管しない。「国道廃止」という異例の決断

今回廃止の対象となる国道は、すでに新たなルートが開通し、代替路が確保されている道路です。

朝日新聞からの引用ですが、下記の道路が廃止または維持管理レベル引き下げを検討しています。

県道195号 田山花輪線 9.8キロ

県道22号 比内大葛鹿角線 5.3キロ

県道68号 白沢田代線 7.8キロ

県道102号 大館鷹巣線 5.8キロ

県道111号 桂瀬笹館線 5.3キロ

県道308号 河辺阿仁線 11.0キロ

県道200号 矢坂糠沢線 5.0キロ

県道294号 仙ノ台桧山線 10.0キロ

県道308号 河辺阿仁線 19.7キロ

県道32号 仁賀保矢島館合線 6.9キロ

県道312号 長岡冬師城内線 5.4キロ

県道321号 上桧木内玉川線 5.4キロ

県道273号 外山落合線 6.4キロ

県道278号 雄勝湯沢線 7.6キロ

たとえば、東成瀬村の国道342号における廃道区間。

Googleマップより

スクリーンショットではわかりにくいのですが、成瀬ダム建設に伴い2023年に「狐狼化山トンネル」や「赤滝大橋」を含む新区間が開通し、旧道となっていました。

役割を終えた道の廃止自体は不思議ではありません。しかし通常、国道に新道ができた場合、旧道は県や市町村に移管して「生活道路として維持する」のが一般的です。今回、秋田県が明確に「廃止」へと踏み込んだことは、極めて異例かつ大胆な対応と言えます。

「いずれ人がいなくなるから廃止する」が当たり前に?

人口減少が進む日本において、インフラの縮退は避けられない課題であり、秋田県を含め全国の自治体で10年以上前から議論されてきました。 しかし今回注目すべきは、県の建設部が「現在まだ利用されている道路」に対しても明確に「廃止」という言葉を使った点です。

選定の主要な基準となったのは、「沿道の住民が全くいない区間」だけでなく、「将来的に人口が9割以上減少すると推計される区間」でした。つまり、「もう誰も使っていない道」だけでなく、「今は人が住んでいても、いずれいなくなるから廃止に向けて動く」というシビアなレベルにまで踏み込んでいるのです。

たとえば、撤去が検討されている県道307号線の岩城橋(皆瀬川)。

Googleマップより

たしかに迂回できる橋は他にもありますが、稲庭地区のすぐ横に位置するこの橋を廃止するのは、地域生活への影響を考えれば相当に思い切った施策です。

また、完全な廃止だけでなく「維持管理レベルの引き下げ」が行われる道路もリストアップされています。これは、草刈りや路面・側溝の清掃、小規模な舗装補修の頻度を減らすというものです。 もちろん、これらはまだ「方針」が示された段階にすぎません。秋田県はこれから、対象区間の市町村や地域住民との協議という、最も難易度の高いプロセスに直面することになります。 とはいえ、これまで地方のローカル鉄道が「地元の足がなくなる」と反対されながらも、結果的にその多くが廃止されていった歴史を振り返れば、道路も同じ帰結をたどる可能性が高いでしょう。

AI化とデジタル化はインフラ統廃合を加速させる

筆者は、こうしたインフラ縮小の動きが、今後全国で加速度的に広がっていくと考えています。その最大の理由は、道路の管理にデジタル技術が導入され、「どの道が、どれくらい傷んでいるか」が数値で可視化されるようになったことです。

現在、パトロール車両に搭載したカメラ映像をAIがリアルタイム解析し、路面の穴ぼこやひび割れ、白線の剥離などを自動検出する技術が普及しつつあります。 どの道路がどれほどの頻度で損傷し、維持にいくらのコストがかかっているのか。それが正確なデータとして弾き出されるため、「この道は利用者が少ない割に老朽化が早いから、維持レベルを下げよう」といった判断が、感情論ではなく客観的な理論で行えるようになっているのです。

将来の「人口減少推計」と、現在の「インフラ稼働状況・コスト」。この2つの客観的データが揃うことで、説得力を持ったインフラ縮退が進んでいくはずです。 老朽化した橋やトンネルは、自治体にとって無視できない巨大な財政リスクです。特に秋田県のような豪雪地帯では、冬場の除雪コストも重くのしかかります。 管理する道を1キロでも減らし、集約したエリアで地域の暮らしを担保しながら、ゆくゆくはインフラ全体を縮退・統廃合させていく。この流れは、もはや日本全国の地方都市にとって「避けられない未来」なのではないでしょうか。

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