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「コンパクトシティ」がこれらの日本に絶対必要となる5つの理由

さて今回は、「コンパクトシティ」がこれらの日本に絶対必要となる5つの理由、というテーマで解説を進めていきます。

コンパクトシティの定義をおさらいすると、次のようになります。
1)高密度で近接した開発形態
2)公共交通機関でつながった市街地
3)地域のサービスや職場までの移動の容易

これは国土交通省が「新たな国土のグランドデザイン」基本戦略の1つに挙げられる施策です。本メディアがオリジナルにまとめると、「行政サービスや公共交通が集約され、高密度かつ持続可能な社会を持つ市区町村」となります。衰退する日本において、なぜここまで重要視すべきなのか?を5つのテーマに絞って解説します。

1)急速な人口減少に対応しつつ、財政難を解消

急速な人口減少に対応しつつ、財政難を解消

コンパクトシティの推進は、日本の歴史で初となる「健全な衰退」をするために何が出来るか?の解の1つです。

このメディアの大前提として、「日本は衰退の途上にある」という認識のもと、記事を作っています。人口が減り、労働者も減る以上、これまで広げてきた街を徐々に畳んでいく必要があります。これを「縮約」と呼んでいます。

さらに、リタイア層を支えるための経費を捻出する必要があります。これは(あくまで庶民的な考えをすれば)現在使っている税金の無駄を減らし、それを別の用途に使えば済みます。

そこで、町のはずれにある住民のいなくなった集落のインフラを停止し、人口分布を町の中心へ誘導していく工夫が必要となります。例えば学校や病院、上下水道や電力、道路網や鉄道の維持もコストです。例えば東京の玉川通りでは1日5万7000台のクルマのために道路が維持されていますが、過疎地域となると1日数百台のクルマのために税金が充当されることになり、言い換えれば数万人の住民のうち数百人のためだけに膨大な維持コストを支出していることになります。

これまで数名のために維持管理されてきたインフラにかけていたコストは、コンパクトシティ化を推進することで町の中心部へ充当できます。奥地に住む住民には引っ越しの補助金を出したり、太陽光発電など自前でインフラが整う装備を用意するなどの一時的な出費は必要になりますが、一度対策が終われば年間数千万円単位の経費が浮きます。

お金だけの話ではなく、人のつながりという観点でもコンパクトシティ化は重要です。近所まで歩いて1時間などのいわゆる「ポツンと一軒家」世帯は日常生活に支障が出やすく、万が一の災害時、あるいは急病時の人命救助に時間がかかり、人命救助をする側の人にも人命の危機が訪れる場合があります。おとなりさまとゆるく繋がる社会性を持つことで健康寿命の長期化につなげる事ができます。

また、経済面のメリットも大きくなります。人口密度が高いほど1店舗あたりの来客数が増えるため、サービス産業の活性化が起こります。徒歩や自転車で回遊できるコンパクトな町とすることで外出の増加にも繋がり、消費者としても様々な商業にお金を使いやすくなります。

2)災害・紛争時の被害軽減

災害・紛争時の被害軽減

先日も東北で大きめの地震があり、死者が出たり、新幹線が脱線し那須塩原から盛岡間が不通になるなど大きな被害が出ました。日本は世界トップクラスの災害被害を受けている国で、地震による経済損失は1995年の阪神淡路大震災で148億ドル、2011年の東日本大震災で210億ドル(2011年当時のレート 1ドル80円換算)と、地震被害金額は世界トップクラスです。

また台風被害も無視できません。「再保険業界の世界大手、スイス再保険によると、2019年の自然災害による世界の保険損害額は520億ドル(約5兆7000億円)。日本を襲った台風19号が世界最大の損害額(80億ドル)で、それに次ぐのが台風15号(70億ドル)だった。」(原文)。武蔵小杉のタワマンでいくつかのインフラが停止し、世間の関心(嘲笑?)をかったのが記憶に新しく、都市でも水害は有りえます。浸水リスクのあるエリアに低層住宅を並べるのは危険であり、高台に戸建て、あるいは低地であれば排水機能を整備するなどの工夫が今後数十年で一層求められるでしょう。

減災という観点から見ると、多くの住民が病院や避難所に歩いて避難でき、地すべりや津波の被害から逃れられる仕組みが必要になってくるでしょう。山奥で家一軒潰れても誰も助けに来ません。町がコンパクトなほうが避難所への避難時間短縮、避難所への迅速な支援、警察や消防機能の充実、万一の病院や行方不明者捜索など、諸々が有利です。

紛争の対策にもコンパクトシティは有利

さらに近年ではウクライナ・ロシアの戦争が発生し、中国は台湾向けの侵略を画策していると言われる中で、国境を面する日本も日和見とは行きません。一般論として地下街や地下鉄はシェルターの機能を持ち、市街戦は防衛有利と言われています。一方でドロドロの田園や曲がりくねった山林は進軍を遅らせます。逆にスプロール化した都市では素通り、運が悪ければ各個撃破も考えられます。都市と郊外をくっきり分離することが紛争の防衛にも有利に働きます。

不幸中の幸いで、発展途上国に比べ死傷者数などは比較的抑えられています。災害後にどう避難し、どうサバイバルするか?を考えると、コンパクトシティのほうが有利になるでしょう。(個人的には税金を使って緊急時の非常食と水くらい各世帯に配ってよいと考えます。)

生活基盤となるインフラ、特に衣食住に関するものが寸断されると、二次災害が拡大します。東京ほど過密になると、物資や病床の不足が考えられ、さらにゴミや排泄物など衛生面でも、インフラ停止の被害はじわじわと大きくなると予想されます。中期的な観点で防災を考えると、あくまで大都市を作るのではなく、無秩序に広がった住宅地をコンパクトに再整備するという考え方が重要です。

3)環境負荷の低減、SDGsの推進

環境負荷の低減、SDGsの推進

2021年を振り返ると、「SDGs」というワードが盛んに叫ばれた1年であると言えそうです。

まさに猫も杓子もSDGs、例えば女優が「SDGsっていいですよね~わたしもエコな生活を心がけます」といいながら新品の衣装を1回だけ着て捨てたり、某企業の社長が「私達はSDGsの達成のため努力します」と言いながら発展途上国を苦しめて作った製品の売上で燃費10キロもないベントレーに乗ったり、カフェで「SDGsで機会を平等にするために、席は2時間制とします」なんて書いたり、自己中心的で見せかけのエセSDGsを振りまくようになったのは「ムカつく」事象と言えます。

一方、コンパクトシティはこのSDGsを真に体現した取り組みの一つであると言えます。SDGsの各番号に対してコンパクトシティが与える効果については別の記事で紹介いたしますが、様々な面で地域のSDGs達成に貢献します。

特に交通整備によるマイカーから公共交通・自転車へのシフトで、エネルギー効率向上や二酸化炭素の排出減が狙えます。単純に電車やバス利用が増えるだけでなく、渋滞減少によるCO2削減も大きなメリットです。

また、郊外を歯抜け状態の住宅地から自然に還すことができます。それによりコンクリートで舗装された道路や堤防も自然に戻すことができ、SDGsの13番・14番・15番である気候変動や自然環境に対し、都市を作ることでアプローチが可能になります。

4)既存のインフラの活用

既存のインフラの活用

日本の誇る数少ないアセットが公共交通であると言えます。それは新幹線のみならず、地方鉄道やバスに至るまで、高い定時制、安全性を誇り、環境面への負荷も年々軽減されています。

最近では、鉄道の方式でバスを走らせる「BRT」レールの上をバスが走る「DMV」など新しい交通機関が誕生しているほか、富山での成功事例を受けて宇都宮市では「LRT」の宇都宮ライトラインが整備されています。日本は世界にまれに見る交通大国で、アメリカや中国、EUよりも多くのノウハウを持っています。これをアセットとみなす機運が高まれば、日本のコンパクトシティ形成に向けた取り組みは活性化していくものと考えます。

インフラ利活用は交通だけじゃない…リユース+リフォームも活性化

従来の鉄道網の利便性向上のみならず、リフォームやリユースといった循環型社会の軸となる取り組みも活用しやすくなります。

例えば「ジモティー」に代表されるような、近隣との物々交換が活発になります。近隣住民が多いほどリユース品の排出が増え、需要も増えます。2022年現在、ジモティーが世田谷区と提携して「不用品持ち込みスポット」を世田谷区喜多見で営業していますが、これは人口の多いエリアだからこそ実現したものです。リフォームに関しても、利便性の高い土地+近隣の開発規制をかけることで、既存の住宅アセットを長く使うモチベーションにつながります。

バッテリーを搭載した電気自動車や太陽光パネルなどは環境に良いと言われますが、これらはいずれ廃バッテリーや廃パネルを生み出します。次のエネルギーを探る試みに関しては一切否定しませんが、既存のエネルギーをより効率的に使うほうが重要です。

5)日本に移民の文化が合わないため

日本に移民の文化が合わないため

まず人口の短期的増加が移民以外で期待できません。「特定技能」の仕組みが整備され、岸田政権も拡大すると言っていますが、導入に際し外国人も日本企業も手続きが複雑であり、またEUの移民政策の状況を見て、日本に他所の人間を入れることに抵抗を感じる方も一定数出てくるおそれがあります。

さらに移民についても、日本の国土や文化のうち、移民に適さないものが多数挙げられます。役所では未だ紙ベースの文化で、漢字を書けるようになる必要があります。本人確認が免許証のみ対応するサービスが依然として多く、クルマを持たない外国人の在留証明書はあまり役に立ちません。そもそも賃貸物件に住むにも保証料などを多めに取られ、日本人と結婚しないとローンも組めない状況です。

また仕事に対する報酬は他の先進国と比べ低く、地震など自然災害が多く、移民にとっても日本は非常にコスパが悪い地域であると言えます。

労働人口が減っていく日本において、移民によって分断を進めるのではなく、日本人同士がまとまっていくアクションのほうが実現可能性は高いでしょう。もし移民を推進したいのであれば行政手続きはオンラインで完結するくらいの整備を進める必要があるとます。

まとめ

これらが、「コンパクトシティ」がこれらの日本に絶対必要となる5つの理由です。

ほかにも雇用の改善や第一次産業の活性化、観光客の増加、教育の充実など様々な考え方ができます。

もちろんメリットずくしではなく、一部の人にとってはインフラが行き届かなくなるほか、日照権、景観阻害、過密化、近隣トラブルなどが発生します。さらに貧困や犯罪が見えにくくなり、行政能力が低いと格差社会を一層進展してしまうリスクを孕んでいます。まずはコンパクトシティに理解を示す住民が、市区町村単位ではなく行政区単位で進めていくのが現実的ではないでしょうか。

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